巡りあう才能 2006 − 2022 Destined Encounters vol. 3

参加アーティストを数回にわけてご紹介してまいります。

薛 在玲(ソル ジェヨン)Seol Jaeyoung

クリスタル・クリア Crystal Clear
2022, メゾチントmezzotint
12 x 15 cm, Edition : 12

やわらかいモノに恋し、その曲線を語るソル・ジェヨンと申します。

自分にとって曲線とは、[動き]であります。そしてそれを無限に広げ、香りや質感などで豊かな想像をつけれる要素が、[自然/nature]であるのです。

特に私は5年間インドで生活しながら、風による砂の波、そして葉っぱの上で大きさの変わる水玉など、意図してない自由自在な動き、つまり曲線が美しく力強いモノとして感じました。

また、このような曲線は時間の経過により少しずつ、またはものすごい速度で変化していきます。
パンデミック以降からの世の中は、まるで動きの止まった機械のようです。
制限だらけの環境に変わり、その中で人々が奪われて苦しがる最も大きな要素が、この[動き]であると思いました。
状況が収まり皆が日常に戻れるその日まで、新しく生まれる様々な[動き]を想像しながら、傷の多い白い曲線で広げていきたいです。

◆作品について
皆の眠る静かで真っ暗な夜の中、自由に踊りながら果てを迎える流れ星の動きを表しました。
もしかしたら流れ星というのは、鋭くて数多い傷の光る、生きモノの群れであるかもしれないです。

lil undone

Come up during Tokyo
2022, 52 x 73 cm キャンバスにインクジェットプリント inkjet print on canvas

占星術師。
5pointzを筆頭に各国へ旅をする中でグラフティや地下鉄アート、ポップアートに影響を受ける。
主に1960年代のカウンターカルチャーや2000年代のストリートカルチャーから強い影響を受けており、それらを融合した形で、自らの作品のジャンルをサイケポップと定義している。

◆作品について
「Come up during Tokyo」はHIPHOPアーティストtravis scottのアルバム「ASTRO WORLD」から着想を得ています。
学生時代、lil undoneは地下鉄アートに影響を受けました。
「東京という新天地のゲートをくぐったときに持っていたはずの野心や無垢さはすでに失われてしまったけど、またそのピュアさを取り戻すかのような感覚を得る」

「過去の曖昧な記憶は揺らぎになって現れる」

※キースヘリング(作品内の左上)

本城葵 | Aoi Honjo

Moon
2021, 91×72.7cm
和紙に岩絵具
natural mineral pigments on Cloud-skin linen paper mounted on panel

◆活動歴、展示歴
2017 シブヤ・アロープロジェクト デザイン画 担当
2018 JINJIN NIGHT GALLERY  グループ展《PUBERTY GIRL’S》
2020 ギャラリー青羅 日本画4人展《Take off》
2020 《ASYAAF2020》, seoul
2020 銀座スルガ台画廊 多摩美術大学日本画選抜展《EUREKA》
2020 東京五美術大学 連合卒業・修了制作展
2020 NOSE art garage  グループ展《Love is universal 》
展示・ライブペイント
2020 北参道GRAPES FOCUS ON COLOUR OF LIFE Paris 
ライブペイント
2021 個展 《花人展》 展示・ライブペイント
2021 水津惣一郎個展コラボ作品
2021 佐藤美術館 多摩美術大学大学院 日本画研究領域二年生展
《光風霽月》
2021 星乃珈琲 守谷店 壁画担当
2021 不変山永寿院 グループ展《気韻生動》
2021 NOSE art garage 健康的なエロ展 ライブペイント
2022 多摩美術大学 美術学部卒業制作展・大学院修了制作展
    アートテイク選抜展 展示

山上ひかり | Hikari Yamagami

紡光 ~明日の記憶~
2022, インクジェットプリント inkjet print 
各 Frame size: 41.8 x 41.8 cm

東京生まれ

絵描きになりたかった父の影響で幼い頃から芸術に触れて育つ。そんな彼女が 自己表現の場として選んだのが芸能界だった。17歳でラジオMCを務め、グラビア雑誌各誌、 写真集、イメージ DVD、バラエティー番組出演、映画出演などを経て編集者へ転向。経済誌、週刊誌、コラム、漫画原作などを手掛け現在は知能教育講師として働きながらフリーランスポートレートモデルとして活動している。 

また自身のセルフポートレート写真が「RICOH IMAGING PENTAX/GR PHOTO CONTEST2021」GR部門で銅賞を受賞するなど昨今は写真家としても精力的に写真活動に取り組んでいる。 

今回の作品をはじめ彼女が撮る写真は記録写真でありその時感じた想いをシンプルに記憶したものである。 

三脚を一切使用せずに撮るセルフ写真にも其処に在るものを駆使しその瞬間をありのままに記録したいという彼女の記録写真への強い拘りと決意を感じる。

「私にとって写真は記憶を記録することであり、その記憶が在り続ける限りここでこうして生きていられるのです。」 

◆活動歴、展示歴
2021 「すなお」六車和貴×山上ひかり個展(青山ナダール)
2021 Yahoo!ニュース PAGE「フリーランスモデルに聞くコロナ禍の生き方」
2021 Nikon カレッジ 水咲奈々「撮影実習+オンライン講評会」ワークショップモデル
2021 カメラのキタムラ ShaSha「カールツァイス ZEISS Loxia2/35 レビュー」web、動画モ デル

◆受賞歴
2021 RICOH IMAGING PENTAX/GR PHOTO CONTEST2021 GR部門銅賞 

◆作品について
紡光~明日の記憶~ 
人間は忘れる生き物と言われています。 忘れることができるからどんなに辛く苦しいことがあっても前へ進めるのだと。 

私にとって写真とは記憶を記録する手段のひとつであり、一番身近で一番苦しい存在です。 

忘れたい記憶や忘れられない記憶が一枚の写真として其処に存在し続けることは、過去の自分と向き合い続けることであり、未来の自分へ微かな期待を膨らませる反面、失った愛の重さに苦しみ続ける愚かな自分と生きていることを実感せざるを得ないからです。 

シャッターが切れない日が何か月も続いたある日のことです。ふと足もとを見るとそこから長く伸びた影がもうひとりの私を写していました。 

影となった私は怖いほどに濃黒でその黒い影に飲まれそうな恐怖を感じた私はその場から走り去ったのです。 

無我夢中で走った先に存在していたのは、狂おしいほど真っ直ぐに私を照らす光。そしてその光と共存している影でした。 

熱い涙がボロボロと溢れ、こどものように声をあげ泣きました。ずっと泣きたかった。ずっと苦しかった。 

それは、ずっと止まっていた時間が動いた瞬間でした。 私という人間がRe:Startした瞬間だったのです。 

言葉を紡ぐように光を紡ぎ其処に存在する影の力を証明したい。

この日から私はまた写真を撮るようになりました。

過去のものだけでなく明日も明後日も明後日もその先もずっとずっと残っていく記憶を大切に大切に記録して生きていこうと誓いました。 

記憶にない記録を記憶し紡いでいくことで私は今日もここで生きています。