三澤憲司 × ジョナサン・セリガー 二人展「素材と物質」    

会 期|2025年5月16日(金) - 6月14日(土)
時 間|12:00 - 18:00

休廊日|日・月・祝
会 場|Sho+1 
入場無料
ジョナサン・セリガー Napkins, 2025
33 x 32.4cm, キャンバスに油絵具、アルキド、アクリル絵具、モデリング・ペースト
三澤憲司 我道の行, 2021
65 x 53cm, 木製パネルにカセットテープ、ミックスド・メディア

Sho+1 では、2025年5月16日(金)より6月14日(土)までの期間、三澤憲司とジョナサン・セリガーによる二人展「素材と物質」を開催いたします。

三澤憲司は彫刻家として、長らくあらゆる素材、鉄、木、大理石などと向き合ってきました。その三澤が絵画という平面的な空間と向き合うにあたって重視したのは、素材を融合させることで絵画に物質性を宿す方法でした。モノ派の作家たちからの強い影響を受けている三澤の制作過程は独創性に溢れています。絵の具をチューブごとキャンバス上に不規則に伸ばしたり、絵の具で覆われたキャンバス上にカセット・テープや廃棄物を貼りつけたり、墨で仕上げた支持体の上に幾重にも木炭を配置したり、平面という制約の中においても、彫刻家として培ってきた立体表現の経験を活かし、質量や体積といった物質性への意識を軸に、絵画表現に取り組んできました。

ジョナサン・セリガーは消費文化の残骸として、ハイブランドのショッピングバッグやチャイニーズレストランのテイクアウト容器、紙コップ、使い捨てマスク、電球、ミルクパックなどを取り上げ、キャンバスやブロンズ、真鍮を折り曲げ彩色することで、それらを再構築した作品を発表してきました。
消費された物質を再び甦らせることで、作家は残骸の中に潜む存在性を掘り起こし、それをポップ・アートの文脈の中で昇華させていきます。何より注目すべきなのは、エナメル塗料や油絵具、アルキド、アクリル、モデリングペースト、さらには医療用素材であるコロプラストに至るまで、異なるマテリアルを緻密に用い、新たな“質”を持った物質を創出している点です。

素材そのものへの深いまなざしと、それを通して物質性の新たな可能性を探る両者の姿勢は、単なる素材の再利用や物質の再構築にとどまらず、「物質」と「表現」、「現実」と「記号」、「消費」と「再生」といった対立項を往還する現代美術の本質的な問いを内包しています。そしてその問いかけこそが、彼らの作品に時代性と普遍性を同時に宿らせているのです。

この機会に是非ご高覧いただきたく、皆様のお越しをお待ちしております。

アーティスト・プロフィール
三澤憲司
ジョナサン・セリガー

三澤憲司 狂った果実, 2011
35.9 × 15.5 cm, スクエア型フライパン、釘
三澤憲司 夢, 2021
11.5 × 11 × 47.2 cm, 木
ジョナサン・セリガー 肩章, 2021
66 × 41.3 × 12.7 cm, キャンバスに油絵具、アルキド、アクリル絵具、モデリング・ペースト、合成ニス、コロプラストとエポキシ樹脂上にモスリン
ジョナサン・セリガー ミラー・バルブ, 2019
15.3×10.25×10.25cm ステンレススチール、メッキを施した真鍮、ブロンズ(青銅)の上に自動車用エナメル塗料