三澤憲司
Kenji Misawa

PROFILE

三澤憲司は彫刻家として、日本各地に100点以上のモニュメントを制作設置しその名を知られることとなりました。石と金属、もしくは自然と人工といった異質の物質同士の不調和の調和を図る空間構成による表現を展開し、立体造形としての作品を発表する一方、自らを媒介として新しい造形感覚・空間間隔を結び付けた日本庭園や環境設計・モニュメントも数多く手がけてきました。画家としての活動はその膨大な作品数をもっても未だ広く知られていません。

三澤は、60年代後半の日本の美術を代表する大きなムーブメントであった「もの派」、その代表的な作家である関根伸夫や菅木志雄とは同窓生であり、さらに李禹煥とは互いに刺激し合って制作した仲でした。彼は「もの派」の作家たちと同じく「もの」そのものの特性を引き出すということに着目した作家であり、彫刻作品においては、異質なもの同士を組み合わせることによって、素材同士の特性を対比する手法を得意としました。これは、用いる素材同士はあくまで不調和でありながら、空間の構成・配置においては調和を図るというもので「不調和の調和」と呼ばれています。

「不調和の調和」は彫刻作品だけでなく、絵画作品にも見られ、カセットテープや布、木炭といったものがそのまま貼り付けられているのはもちろんのこと、三澤が好んで多用するソフト・ペインティングと言う手法は、下地を塗った後、筆を使うことなくチューブから出したままの厚みを持って配置することにより、全く別のレイヤーを作りだす独特の技法は、異質さが際立ちます。

2019年に脳の手術とリハビリを経験し、それ以降に発表された『New Horizon』シリーズでは、これまでの作品の特徴を一部引き継ぎながらも、よりダイナミックな方向へと変化しています。作家自身が「脳を癒す過程で生まれた」と語るこれらの作品は、彼のアートへの飽くなき挑戦と情熱と、生と死の狭間を行き交うような力強さを感じさせます。造形の美や空間との対峙を追求し、社会と深く関わりを持ってきた彫刻家としての三澤憲司だけでなく、病を患った経験を経て、自由奔放な画家として生まれ変わった彼は、内面からほとばしる膨大なエネルギーを作品にぶつけていくことをむき出しで表現しようと試みています。

BIOGRAPHY

1945 長野県生まれ
1968 多摩美術大学油絵科卒業
1984 文化庁芸術家在外研修員としてニューヨーク、イサム・ノグチ氏のスタジオで研修
1986 米国ハーバード大学客員芸術家就任

AWARDS

1969 第1回現代国際彫刻展(箱根彫刻の森美術館)コンクール賞受賞
1983 第16回現代美術展 東京都美術館賞受賞
1983 第3回ヘンリー・ムーア大賞展 美ヶ原高原美術館賞受賞

PAST EXHIBITIONS

個展(抜粋):
1986 ハーバード大学カーペンターセンター ケンブリッジ(米国)
2024「BEAMS CULTUART presents 三澤憲司 横断する抽象」B GALLERY 東京

グループ展(抜粋):
2025 三澤憲司 × ジョナサン・セリガー 二人展「素材と物質」Sho+1 東京
2018 “LA Art Show” 福田画廊 ロサンゼルス
2017 “LA Art Show” 泰明画廊 ロサンゼルス
2016 インターナショナル ハワイ
2015 インターナショナル ハワイ
2014 「EXPO Chicago」Shoichiro シカゴ
1985 Jack Tilton Gallery ニューヨーク

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