木村尚樹
the tranquility as lullscape -凪景-
"nagi" In praise of shadows

【オープニングレセプション】  
4月7日(金) 18:00 - 20:00

会期|2023年4月7日(金) - 5月13日(土)
時間|12:00 - 18:00 / 日・月・祝 休廊 
入場無料
蒼 2022 / 渇 2022

Sho+1は、2023年4月7日(金)より5月13日(土)までの期間、モノクロームに特化したオリジナルプリント作品を主体とする写真美術作家、木村尚樹の写真展「 the tranquility as lullscape -凪景- “nagi” In praise of shadows」を開催いたします。

木村は、京都の西陣という伝統と革新の混在する風土で幼年期を過ごしました。現在の彼の作品の特徴となるなだらかな階調を持つ「質感」を感じとる基盤はこの時期に形成されました。 15歳のとき、ろうあ者の作品を集めた写真展に立ち寄った際「雄弁」に語りかけてくる写真の持つ力に触発され、自らの感性を表現する手立てとして、写真という表現を選びました。木村は「凪」と称する-もののあはれ-を模索しつつ、時間と空間の交差に立ち上がる清鑑な”ゆらぎ”とその質感 -クオリア- を切り撮ります。1987年に渡米後、1990年に作品制作のために訪れたイタリアで「美しい」と感じるものへの本能的な反応を体感したことがその後の彼の作品の通底の概念である「凪」へと発展していきました。2015年以降、欧米から日本へと被写体を移行しますが、その場所や空間に漂う”ゆらぎ”とその質感を一枚の作品に収めるという木村のテーマは一貫しており、欧米をはじめ多くのコレクター等に熱い支持を得ています。 

写真表現において、侘び寂びに宿る美を見出すことは特別なことではありませんが、木村はその場所に現れる光が織りなす静謐な瞬間を見事に捉えます。

本展では、日本を被写体とした新作を一挙に公開いたします。この機会に是非ご高覧ください。 

アーティスト・ステートメント:

「凪」という、ゆらぎ。
それは「写されたもの」であるが、創造を衒ったものではない。
「凪」とはそういう曖昧なものでよいだろう。
空間のゆらぎに無造作に反応した時、そこにある光景を切り取る。
それは、「美しい」という本能のようなものを掠めていたことを、心が記憶することに似ている。 
生来の時間軸の上で、自身が背負うイデアとしての「日本」が孕む固有の感性なのであって、それは眼前に用意された幻影に過ぎないものへの感嘆の発露である。
”もののあはれ”とでも伝われば幸いである。 
我々は花鳥風月に抱かれる時、その懐に身を置くことで、-もののあはれをしる-のだろう。

現在・過去・未来-生と死、感情や記憶までものあらゆる事象は二次元へと刻まれているという理は、宇宙の成り立ちそのものだとも云う。 
揺れ動きゆらぎを見せる、人の”心”にはそれぞれにいくつもの色があり、明暗の極性さえも寛容する。
それらが共鳴し互いに求め合うように旋律を産み-綾-を成す瞬間・・、
- 立ち逢えるのであらば冥利である。
陰という次元に想いを寄せることで、光の嫉妬を感じることがある。
降り積もる光に、しなやかに深まる陰を讃えたいと想う。

木村 尚樹

鬼灯 2022

アーティスト・ページ

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