櫻井充
Mitsuru Sakurai
PROFILE
写真を主な表現媒体としながら、「見ること」「知覚すること」、そして「存在」の関係を探究しているアーティストです。写真を目の前にあるものを単に記録するための手段としてではなく、対象がどのように知覚され、見るという行為によってその存在がどのように変化するのかを考察するための媒体として用いています。
初期のシリーズ《Fe》では、三菱重工のロケット組立現場や鉄塔など巨大な人工構造物にカメラを向けました。精緻な撮影技術を基盤としながらも、単なる記録にとどまらず、スケールや距離、視点を変化させることで、目の前にある対象を私たちはどのように見て認識しているのかという「見ること」そのものへと意識を向けています。
その後、櫻井の視線は外部の構造物から身近な領域へと移行し、日本各地の灯台や「家族」という最も身近な他者をテーマに取り上げた《BP》を通して、自己と他者、記憶、そして時間の関係を見つめました。
2025–26年に制作された《イム(imu)》では、その視線をさらに内側へと向け、セルフポートレートによって「自己」そのものを主題としています。このシリーズの背景には、仏像を撮影した経験を契機として深まった仏教思想への関心、とりわけ人目に触れることなく存在する「秘仏」という概念があります。櫻井はそこに、見る者の存在によって対象の見え方や意味が変化する観察者効果(観測)の視点を重ね合わせています。
複数の視点や異なる時間を一つの画面に重ね合わせることで、《イム》は自己を単一の固定された像として捉えることを拒みます。そこに現れる人物は、確かに存在しながらも完全には捉えきれない、「見る/見られる」「在る/在らない」の間を揺らぐ存在として立ち現れます。
巨大な人工構造物から家族、そして自己へ。櫻井の被写体は変化してきましたが、写真を通して「見る」とは何か、存在というものを一枚のイメージの中にどこまで捉えることができるのかという問いを一貫して探り続けています。
BIOGRAPHY
1979 東京都生まれ
2003 東京造形大学 造形学部デザイン学科 視覚伝達専攻写真コース卒業
2023 東京造形大学 造形学部デザイン学科 写真専攻領域 非常勤教員 在職中
AWARDS
2002 Konica Minolta Photo Premio Winner
2014 Prix de la Photographie de Paris(PX3)Nature/Wildlife部門 金賞
2016 Graphis Photography Annual 2016 金賞
2019 IPA (International Photography Award) Architecture/Industrial部門 1位
2021 東京TDC賞2021 ポスターBカテゴリー ノミネート
2023 ソニーワールドフォトグラフィーアワード 2023 プロフェッショナル部門 Architecture & Designカテゴリー ショートリスト
PAST EXHIBITIONS
個展:
2026 「櫻井 充個展『imu』」BAU SHIBUYA, Sho+1 東京
2022 「櫻井 充写真展『BP』」Sho+1 東京
2021 「櫻井 充写真展『Fe』」アーツ千代田3331 東京
2020 「櫻井 充写真展『Fe』」アーツ千代田3331 東京
グループ展:
2025 「Between Scenes ー開門ー 」Sho+1 東京
2022 「空即是色 Illusion of Reality」銀座 蔦屋書店 FOAM CONTEMPORARY 東京
2022 「ART FAIR TOKYO 2022」Sho+1 東京
2019 「IPA (International Photography Award) Best of Show exhibition – curated selection」ニューヨーク他
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