Diversity of Perspective

参加作家
平間至、中野正貴、荒木経惟、櫻井充、四宮彰吾、
アリソン・ジャクソン、グィド・アルジェンティーニ、ヒデマロ 

2021年8月17日(火) - 9月18日(土)
12:00 - 18:00
日・月・祝 休廊

Sho+1では、2021年8月17日(火)から9月18日(土)までの期間、写真展『Diversity of Perspective』を開催いたします。

本展では、有機物と無機物、人物と風景、日常と非日常など、対義関係にあるテーマをもつ作品を展示いたします。

伝えていくこと、残していくこと。

プロフェッショナルによる写真の力を、より多くの方に感じていただけましたら幸いです。

※緊急事態宣言の影響により、会期や営業時間などが変更になる場合があります。

Diversity of Perspective展に寄せて

本展は過去から現在に至るまで、私が気になった写真家達の新旧取り混ぜた作品群を「視点の多様性」と言うテーマのもとご紹介するグループ展の形でまとめました。それぞれの作家のユニークな世界観をご堪能いただければ幸いです。
櫻井充の写真との出会いは2021年春、3331アート千代田にて開催された彼の個展を偶然訪れた際の感動に端を発します。「鉄」をテーマに開催された彼の作品で目を引いたのは、数々の鉄塔をそのままの形で表現するのではなく、まるで生き物のようにある部分のみ切り取り、それぞれの鉄塔が単体としてその存在が象徴化され、際立って伝わってくるような作品でした。
平間至は数多のミュージシャンを撮るフォトグラファーとして、タワーレコードの”No Music No Life”キャンペーンのポスターを初め、多くのCDジャケットやアーティスト写真を手掛けてきました。そのかたわら、平間の実家、「平間写真館」がある宮城県塩竈市にて2008年より「塩竈フォトフェスティバル」を、2012年からは「GAMA ROCK FES」を継続運営しています。地元の写真館を継がなかった彼は、2015年に東京、世田谷三宿に平間写真館TOKYOを再開させます。一般の人々が気軽に撮りに行ける写真館では、被写体のかけがえのない一瞬を引き出し、人と人を繋ぐことや撮って残していくことの大切さを提案しています。いつ会っても、彼の人柄に魅了されるばかりです。今回は、平間が個人的に惹かれたテーマを持った作品の中から、私の心に刺さった作品を数点披露させていただきたいと思います。
中野正貴は東京を独自の視点で捉えた作風で知られている写真家です。世紀末に発表した写真集「Tokyo Nobody」はベストセラーとなりました。街が持つ意味、特に人口が密集する東京に強い執着を持つ中野に、東京の空を撮ってもらったらどうなるだろうと思ったのが今回の試みです。これらの写真、元はカラーで撮られたものですが、敢えて白黒に転換して貰ったのは、長引くコロナ禍の中、東京に住む人々の心象風景を反映させることができないかと思ったからです。
荒木経惟のヌード写真には海外の写真家には表現できないジャポニズムな匂いを感じてきました。そこには洗練さとは裏腹の世界観が漂っており、現在のように物が溢れていない昭和と言う古き良き時代を思い出させてくれます。
四宮彰吾の写真には、ある日インスタグラムをぼんやりと見ている時に出会いました。真っ黒な背景の中に何か赤いものが炎のように浮かび上がっている写真に強い興味を抱きました。その後彼と会い話を聞いたところ、その作品は逝去した母への想いから生まれた作品であることがわかりました。新作では「Bokeh=ぼけ」と言う概念が重要なテーマとなっています。このテーマへの挑戦の第一歩として生まれたのが今回展示する”MYSTERIOUS – battleship”となります。
アリソン・ジャクソンは世界のセレブリティのソックリさんを作品中に登場させることで、メディアや現実世界に説得力のある問題提起を行い続けているアーティストです。エリザベス女王が便器にしゃがんで雑誌を読む姿、本作に見られるようにマリリン・モンローが自慰に耽る姿など、まるで本人たちがそのような行為をしていると見間違える程、精巧な世界を作り上げています。
グィド・アルジェンティーニは女性の美を最大限に引き出すことに注力する写真家です。ヘルムート・ニュートンが骨格のしっかりした美しい女性の脚を求める一方、アルジェンティーニは細身で曲線美に優れた女性の肉体をこよなく追求することに重きを置いています。
ヒデマロは謎の東洋人作家として、過去にアンディ・ウォーホルの最後のセルフポートレートである「鬘を被ったウォーホル = Self-portrait Fright Wig 」の完全コピーを発表しました。
今回はバスキアのフェイク作品と思しき作品を皮肉交じりに再構築しています。
ディレクター 佐竹昌一郎

アーティスト・ピックアップ

平間至  Itaru Hirama
1963年、宮城県塩竈市生まれ。日本大学芸術学部写真学科を卒業後、
写真家イジマカオル氏に師事。
躍動感のある人物撮影で、今までにないスタイルを打ち出し、写真から音楽が聞こえてくるような作品により、多くのミュージシャン撮影を手掛ける。
2008年より塩竈にて「塩竈フォトフェスティバル」、2012年に「GAMA ROCK」を立ち上げる。
2015年に東京・三宿に平間写真館TOKYOをオープン。

MOTHERSシリーズについて
僕は風邪をよくひく少年でした。しょっちゅう熱を出して市内にある女医さんの小児科に連れて行かれました。
その当時はおしりに打つ注射が主流だったらしく、看護師さん達は総出で僕の手足を押さえ注射をしました。
あまりの恐怖と鮮烈な体験は、僕にとっていつの間にか快感に変わっていきました。
女医や看護師さん達が身につける白衣やエプロンの最もハードコアなものとしての手術着ガウンやゴムエプロン。
それは防護する為と同時に受け入れる為の衣装でもあるのではないかと思いました。
外科手術とSEXが唯一、自己の肉体に他者が侵入する瞬間だとすると、そこは大きくエロチシズムに関わっているのではないだろうか? 
2021年7月 平間至

中野正貴  Masataka Nakano
1955年、福岡県生まれ。翌56年より東京在住。
武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン科卒業後、写真家・秋元茂に師事。
1980年よりフリーランス・フォトグラファーとして独立。
雑誌や広告撮影を中心に活躍。
2001年『TOKYO NOBODY』(リトルモア)で日本写真協会新人賞を受賞。
2005年には『東京窓景』(河出書房新社)で第30回木村伊兵衛写真賞を受賞。
2019年に東京都写真美術館で大規模写真展「東京」を開催。
2021年には長年の活動を評され、東川賞飛騨野数右衛門賞を受賞した。

人類の誕生以来宇宙へとつながる大空への憧憬と畏敬は永遠不変の真理である。
その空に浮かび刻々と姿を変える雲もまた人間にとっては崇高な存在で、その表情の変化
によって感情は大きく揺さぶられる。
真綿の如き雲には包まれるような安堵感を覚え、立ちこめる暗雲には不吉な予感を感じる。
我々は雲と共に生きている。
2021年8月 中野正貴

四宮彰吾  Shogo Shimiya
剣術、居合、禅刀道、闘剣を修行し、演武会や過酷な試合を体験して剣士としての気迫と闘気を習得する。 
長年に渡る剣の闘いで培われ鍛えられて研ぎ澄まされた洞察力と観察眼と審美眼が創作活動に活かされている。

アリソン・ジャクソン  Alison Jackson
アリソン・ジャクソンはブリティッシュ・アカデミー・アワードの現代部門で複数の受賞歴を持つアーティストであり、
セレブリティの行動を熱狂的に探究しています。
それはメディア、広告産業、社会的に作られた彼らのイメージに裏付けされた突拍子もない出来事を含んでいます。
ジャクソンの作品は巧妙に仕立て上げられたソックリさんを使いながら、現代のフェイク・ニュースや隠された事実、
そしてセレブリティの行いについて、説得力のある現実的な世界を構築し、問題提起を行っています。
似ていることは本物になり得、そして妄想は信用性の上に成り立っています。
ジャクソンは我々が想像してきたけれど、今まで見たこともないシナリオを構築しています。

https://www.alison-jackson.co.uk/

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