四宮は闘剣、居合、禅刀道を無双館にて鍛錬し、演武会や過酷な試合により剣士としての気魄と闘気を修得しました。
剣の闘いで培われ研ぎ澄まされた洞察力と観察眼、更には美の新境地を睨む審美眼を以て創作活動に挑んでいます。

近年、彼は師から武号「刃刃(じんば)」を授かり、新流派「撃刀(げきとう)」を創始するに至りました。



初シリーズである「A Flower Rising to Heaven」は、自身が備える生と死の見方を体感させている。四半世紀に渡り剣士として、剣術や居合等の鍛錬で培ってきた洞察と観察と審美の眼により、禅的な情調を奥底に持たせた表現を基軸としている。剣による刹那のやり取りで生や死と向き合い、またそれらを本能的に感じることで、人の持つ死生観にまで触れてきた独自の感覚で創作しているのだ。作品から汲み取れる「侘びと寂び」は剣から影響されているのは言うまでもないだろう。2017年8月26日、母の訃報に接したのを切っ掛けに「A Flower Rising to Heaven」という一連の作品が生まれた。棺で眠っている母に花を手向けた行為からインスピレーションが湧き「魂の昇華」という目には見えない光景を写真で表現したシリーズ作品である。詩韻に包まれるかのような佇まいを感じさせながらも、刀の切っ先を鑑賞者の喉元に突き つけて死生観を問いただす緊張感を併せ持っている。火というエレメントもマテリアルの一つという考えによる。炎によってパラフレーズされた天へ昇華してゆく花の形象を紫電一閃、具象化することは、 居合における「生死を鞘離れの一瞬にかける」が如くであり、時空の刹那を切り取るために写真という表現手段を用いた。 死者への手向けとしての「花」が、恰も魂に伴走するかのように燃えて尽きてゆく様を想像する。それはまた、人間の崇高なる魂が天へと昇華してゆく光景を彷彿させるのだ。昇華を炎の「ゆらぎ」に見つけた時、魂の行く先を想うことで、とても原始的な、そして不変の体感を得たのである。炎の「ゆらぎ」ほど人間の本能に訴えかける美しい情景があるだろうか。作品に共通しているのは「1/fゆらぎ」を帯びていることである。炎は明暗のコントラストが強く、色の濃淡、すなわち斑がある。そのリズミカルな斑に 「ゆらぎ」を感じているのだ。 炎には予測できない不規則な「ゆらぎ」があり、それが「1/fゆらぎ」だと確信している。規則的なものと不規則なものが調和した状態が「1/fゆらぎ」であり、見る人は心地よく快適な気分になっていく。炎をよく見ると不規則さと規則正しさが絶妙に調和した状態で、 温かく柔らかい印象を与えてもいるのだ。また「1/fゆらぎ」は人間が本能的に美しいと感じ取れる感覚であるから、鑑賞者にいつまでも見ていられる感情と癒しの効果を与えるのである。「1/fゆらぎ」が持つ、人間の本質的な反応は様々な分野で体系化されつつある。天へ昇華してゆく花の形象と炎の「ゆらぎ」の瞬間を切り取った「A Flower Rising to He aven」をライフワークとして挑み続けてゆく。


 
 

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四宮彰吾

 


 

 

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